身在东京,心在上海。

身在東京,心在上海。

こじらせ女子大生が暗号通貨・ブロックチェーンや中国についてゆるーく語ります。

中国のハワイ・海南省のブロックチェーン産業事情

こんにちは、こじらせ女子(@icotaku_utgirl)です。

中国のブロックチェーン都市と言えば、Huobi・OKEx・BITMAINを輩出した北京、NEO・ONTologyを擁する上海、マイニング機器製造が盛んな深セン、そして政府による積極的な産業振興策で知られる杭州を思い浮かべる方が多いですが、中国の最南端に位置する海南省でもブロックチェーン産業が盛り上がっています。
2018年10月には海南ブロックチェーン実験区がオープンし、それに前後してHuobiBaiduなどの多くのプレイヤーが拠点を海南に構えています。

この記事ではそんな海南省のブロックチェーン産業事情を、政策の沿革や主要プレイヤーの動きを中心に紹介します。
杭州のブロックチェーン産業については、d10n labで詳細なレポートを配信しました。ぜひそちらも併せてご覧ください。

junyahirano.com

海南省の概要

海南(中国語ではハイナンと読む)省は中国最南端、広東省のすぐ南に位置する省で、トンキン湾を挟んで西側にはベトナムがあります。 面積は3万3000㎢(九州よりやや小さい)、人口は867万人(大阪府よりやや少ない)で、首都は北部の海口市に置かれています。

f:id:korilakkuma123:20190123170431p:plain:w400
海南省の位置(Wikipediaより)

中国のハワイとも称される国際観光都市

海南省の中でも南部の三亜市周辺には、熱帯雨林や美しいビーチがあり、「中国のハワイ」として人気を博しています。ヤシの木が立ち並ぶいかにも南国といった雰囲気の街で、商業施設や高級ホテルも多いです。

私自身も一度訪れたことがあるのですが、国内では中国東北地方、国外ではロシアからの旅行客が多いのが印象的でした。(ロシア語の表記も街中でしばしば目にしました。)

f:id:korilakkuma123:20190124105830p:plain:w400
三亜市のビーチ

f:id:korilakkuma123:20190124105926p:plain:h300
三亜市のパイナップル型ショッピングモール。街のシンボルにもなっている

産業・通商政策上の要塞

海南は1980年代末より国家の産業・通商政策上でも重要な意味を持つ地域でもありました。
改革開放さなかの1980年代末、海南は広東省から独立し省に昇格、同時に深セン・アモイ・珠海・汕頭と共に経済特区に指定されました。しかし、目覚ましい発展を遂げた他の地域に比べると大きな経済効果は表れませんでした。

長らく農業と観光業に依存する状態が続いていましたが、近年ではテクノロジー産業の振興にも注力し始めています。

2008年、首都の海口市にほど近い澄邁県に2㎢(東京ドーム40個分)のサイエンスパークが建設されました。その後数年で、Tencent・Baidu・Huaweiをはじめ362の企業が拠点を築いています。
2014年にはTencentの主導で、オンラインゲームや漫画事業に特化したインキュベーション施設もオープンしました。

f:id:korilakkuma123:20190124105346g:plain:w400
海口・三亜・澄邁の位置(北京ingより)

また、2018年10月には省全体が自由貿易区としても指定を受け、観光やサービス、ハイテクなど特定の分野で外資が参入しやすいよう規制を緩和し、2025年を目処に関税ゼロの自由貿易港を設ける構想も出ています。*1

ブロックチェーン実験区の設立

2018年10月、自由貿易区指定と同時に、澄邁県のサイエンスパーク内部にブロックチェーン実験区が設立されました。

f:id:korilakkuma123:20190123112612p:plain:w500
ブロックチェーン実験区オープン記念式典の様子

ブロックチェーン実験区を含むサイエンスパークに入居する企業やそこで働く個人は、以下のような優遇政策を受けることができます。なお、同様の政策は北京の中関村杭州のブロックチェーン特区など、他のテクノロジー企業集積地でも実施されています。:

  • 勤労所得やストックオプション行使による所得に対する税優遇

  • ハイレベル人材・起業家に対する生活費援助

  • オフィス賃料や住居費の援助

  • 法人税の減免

  • 事業者ローンの金利優遇

ブロックチェーン実験区のオープンに前後して、50以上の大手企業や国内外の教育機関が海南に拠点を構えています*2

  • Bibox(取引所):ブロックチェーン技術応用センターを設立。Biboxは2017年11月にオープンした新興の取引所で、アルトコインの取扱いが多く、出来高でトップ20に入ることもしばしば。

  • Huobi(取引所、OTC、ファンド他) :Huobi Chinaの拠点を北京から移転*3。Huobi Chinaは中国において、Huobi研究所(シンクタンク)、Huobi大学(オンライン講座)、Huobi Labs(インキュベーター)Huobi英才(人材エージェント)、Huobi律林(法務コンサル)の五事業を展開する。Huobiは取引所業務からスタートした企業ではあるが、中国で取引所運営が禁止されてからは海外で取引所を展開し、中国国内では取引所以外の事業を多角化させてきた。

  • Baidu(検索エンジンをはじめ多数の事業を展開する大手IT):傘下のブロックチェーンR&D部門・度链(Dulian)を設立。Dulianは独自のBaaS・XuperChainの開発を手がける。XuperChainに関する詳しい解説はこちらを参照。

  • オックスフォード大学ブロックチェーン研究所を設立。本拠地ロンドン、そしてイスラエル・クロアチアの研究所と併せ、世界にまたがるオックスフォード大学ブロックチェーン研究所の拠点の一つとなっている*4

  • 中国人民大学:大学のビッグデータ・ブロックチェーン・レギュテック実験室がブロックチェーンシステムイノベーションセンターを設立*5。中国人民大学は中国全土でもトップ5に入る文系総合大学。

f:id:korilakkuma123:20190123114840p:plain:w400
ブロックチェーン実験区・Huobiのビル(36krより)

f:id:korilakkuma123:20190123181228p:plain:w400
ブロックチェーン実験区・BaiduとBiboxの拠点(36krより)

海南のような「オフショア」は、北京・上海・杭州のような大都市に比べると、産業発展の土台となる企業や人材の誘致を一から行う必要があるのが難点ですが、既得権益がなく柔軟な施策を打つことができるのが利点として挙げられます。
自由貿易区として外資の誘致もしやすいため、杭州など中国の他の都市のブロックチェーン特区と比べ国際色豊かな特区となると予想されます。また、規制の整備が進みブロックチェーンの更なる盛り上がりが期待できる東南アジアに近いことも、海南特有の利点と言えるでしょう。、

今回は海南省のブロックチェーン産業を紹介しましたが、同じく大都市ではないものの政府手動で急速に開発が進みブロックチェーン産業も盛り上がりつつあるのが河北省・雄安地区です。近いうちに雄安地区のブロックチェーン産業の動向も取り上げる予定です。

※本ブログがお役に立ちましたらご支援いただけますと幸いです。頂いた書籍は勉強に使わせていただきます:Amazonほしいものリスト